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池袋における痛ましい事故

本号掲載の座談会で、高齢者による自動車運転の危険性が話題となっているけれども、池袋で飯塚幸三なる八十七歳の老人が運転する乗用車に横断歩道を自転車で渡っていた母娘が轢き殺される、という痛ましい事故が発生した。

同様の事故において、加害者は逮捕されるだけでなく、「容疑者」として実名報道されて社会的制裁を実質的に受けるのが常であるにもかかわらず、今回の場合、入院中であることを理由に現在も逮捕されておらず、「容疑者」扱いを免れている。これに関連して、高級技術官僚上がりで民間企業や各種団体の要職を歴任し、叙勲もされているという彼の経歴が明らかになり、特別扱いされているのではないかという疑惑が広がっている。

その疑惑が正当であると断定はできぬものの、足を悪くして医者から運転を控えるよう云われていたにもかかわらず運転を止めなかったことは確かだ。

そもそも、自動車は人を殺傷する潜在的可能性を有しており、それゆえ免許なしに運転することはできぬ。昨年、八十五歳の誕生日を以て免許を自主的に返上された先帝陛下の御行動と思い合わせる時、飯塚の愚かさと身勝手さに対する憤りを抑えられぬのは私だけではあるまい。

『国体文化』〔令和元年6月号〕

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