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カンボジアにおける強盗事件

何とも嘆かわしい話だ。去る3月、日本人の二人組 がカンボジアのアンコール・ワット近郊でタ クシー運転手を殺害した事件のことである。

運転手から不当に高い料金を要求されてト ラブルになったかと思えば全く異なり、最初 から強奪目的でタクシーに乗車したようだ。

殺害された運転手は40歳で、4人の子を 持つ父親。他国で不法就労をすることなく、 祖国で地道に働き、三か月前に借金をしてタ クシーを買ったばかりだったと聞く。ここに、 謹んで御冥福をお祈りしたい。

犯人の二人組には400万円ほどの借金があ り、強奪した車で移動しつつ強盗を重ねよう と思っていたと供述しているようだが、カンボジアの一人当たりGDPは日本の約28分の1、それは上流階級も含めた平均値であり、庶民の生活水準は極めて低い。そんな人々 の僅かばかりの財を奪おうとするなど人非人 の所業であり、同じ日本人として腹立たしい。

大東亜戦争末期にフランスからの独立を支援したことをはじめ、平成の御代においても自衛隊や選挙監視ボランティアを派遣するなど、我が国はカンボジアの国造りに貢献し、同国人の日本人に対する印象は良い。そうした両国関係に傷をつけたという意味でも、実に残念な事件であった。

〔『国体文化』(令和元年5月号)編集余滴〕 

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