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安倍首相よ、脱法移民を認めるな

最新号の『国民新聞』〔第19200号〕に上記のタイトルで一文を寄稿しましたので、その全文を転載いたします。 転載にあたり、誤字など一部の表現は修正しました。

安倍首相よ、脱法移民を認めるな


去る十一月二十一日、安倍首相は衆議院の解散に踏み切り、十二月十四日に総選挙が実施される。

解散直後の記者会見において、安倍首相は「アベノミクスを前に進めるのか、それとも止めてしまうのか、それを問う選挙であります」と述べた。アベノミクスの是非を争点にしたいといふことであらうが、そもそも国民はアベノミクスの内容を十分に理解してゐるか。アベノミクスは「大胆な金融緩和」・「機動的な財政政策」・「新たな成長戦略」といふ「3本の矢」からなるが、「新たな成長戦略」の一環として実質的な移民受入れ政策が展開されつゝあることを国民は知らされてゐない。

六月二十四日に閣議決定された《「日本再興戦略」改訂2014》を見ると、「外国人材の活用」として、(1)高度外国人材受入れ環境の整備、(2)外国人材技能実習制度の抜本的見直し、(3)製造業における海外子会社など従業員の国内受入れ、(4)女性の活躍推進、家事支援ニーズへの対応のための外国人家事支援人材の活用、(5)介護分野の国家資格を取得した外国人留学生の活躍支援等、といふ五項目が列挙されてゐる。安倍首相は十月一日の衆議院本会議における平沼赳夫氏の質問に対し、「日本再興戦略に盛り込まれてゐる外国人材の活用は、移民政策ではありません」、「多様な経験、技術を持つた海外からの人材に日本で能力を発揮して頂くもの」、「安倍政権は、いはゆる移民政策をとることは考へてをりません」と答弁してゐるが、これが移民受入れ政策でなければ何なのか。安倍首相の発言は、国民を瞞着する詭弁としか云ひやうがない。

期限付きの出稼ぎ労働者として受入れたとしても、家庭を形成するなど生活基盤が確立してしまへば実質的には移民と同じだ。現行の国籍法では、五年以上の国内居住実績など幾つかの要件を満たせば容易に日本国籍取得の途が開け、被選挙権を含む参政権が付与される。日本人と結婚すれば、もつと短期間で日本国籍を取得できる。我が国に敵意を有する外国人が労働者として入国し、国政を左右することも不可能ではない。実際、現行の制度下においても技能研修制度と留学制度を悪用して少なからぬ支那人が定住してゐる。これなど、まさに「脱法移民」だ。


交通手段や通信手段が飛躍的に発展し、国境を越えたモノ、カネ、ヒトの移動が活発化した現在、グローバルな経済活動から無縁でゐることは不可能である。だが、モノやカネと異なり、国境を越えたヒトの移動は幾つかの問題を孕む。

第一に、先住者の生活水準が低下しかねない。多くの先住者は低賃金で働くことを厭はない移民との競争を強ひられ、場合によつては職を失ふ可能性さへある。第二に、深刻な文化摩擦を引き起こしかねない。「郷に入れば郷に従へ」といふ諺の通り、移民が相手国に同化できれば良いけれども、そんなことは不可能だ。

現に、第二次世界大戦後、人手不足を解消しようと移民を積極的に受入れた欧州諸国では、これらが相俟つて深刻な社会問題となつてゐる。その轍を踏まぬやう、今回の衆議院選挙を通じて安倍首相に翻意を促さねばならない。

とは云へ、与党である自民・公明両党は云ふに及ばず、野党の危機感も薄い。衆院選に向けて各党が発表したマニフェストを見たところ、僅かに平沼氏が代表を務める次世代の党が「東京オリンピックに備へて、入国管理と治安警備を強化」、「国民健康保険の海外療養費制度厳格化」と謳つてゐるが、これは対症療法に過ぎぬ。民主党や維新の党に至つては、いはゆる「ヘイトスピーチ」の規制を公約に掲げてゐる。日本国に寄生し、日本人の平穏な生活を阻害する外国人への怒りの表明を問答無用で犯罪扱ひする両党に祖国の未来は託せない。

「脱法移民」の問題にまで目を向けてゐるのは、鈴木信行氏が代表を務める維新政党・新風だけである。同党の衆院選不出馬が残念でならない。

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