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まずは国体に対する正確な理解を…

三月六日と八日の二日間にわたり、日本文化チャンネル桜の「日本よ、今…『闘論!倒論!討論!2010』」(「真正保守」を自称しつつ、なぜ「2010」と西暦を使うのか?)において皇位継承問題が取り上げられた。

笠原英彦[慶應義塾大学教授]、小林よしのり[漫画家]、小堀桂一郎[東京大学名誉教授]、高森明勅[日本文化総合研究所代表]、新田均[皇學館大學教授]、百地章[日本大学教授]の各氏をパネリストに迎え、(司会の水島総氏を入れた)計七名が四時間三十分にわたり、濃密な議論を繰り広げた。専門的な部分も多く、どこまで視聴者が理解できたのか些か心配ではあるけれども、「姓」の概念、「法」の規範性、「神話」の捉え方、国民国家における「一般意志」の重要性など重要な観点が提示されており、皇位継承問題に関心を有する者ならば、一度は見ておく必要があろう。

ただ一つ残念だったのは、議論の中で一度も里見岸雄博士の名が登場しなかったことである。小林よしのり氏などは弊誌を読んでいるらしく、『SAPIO』(平成二十二年三月十日号)掲載の「天皇論追撃論」の六十五頁欄外に「初めてまともにわしの『天皇論』を評価してくれる論文を読んだ!『国体文化』という冊子で国体論の研究家・河本學嗣郎氏が書いてくれている。『女系容認』の1コマのために、保守派からも敬遠されていたのですごく嬉しい。この文章、『ゴー宣』の読者にも読んでもらいたいくらいだ。」と記している。

国体に関する正しい認識なくして、皇位継承問題を論ずることはできぬはずだ。里見博士は、「日本国体とは、時代社会と関連する政体並びに生活体系と区別せらるべきものであつて、日本国家の究極的基盤たる基本社会としての民族生命体並びにそれに随伴する精神現象の包括的概念である」、「日本国家の究極的基盤たる民族生命体系の体相たる君民一体、その作用たる統治翼賛、その性質たる忠孝一本、その規範実践たる皇道天業、その運命結果たる天壌無窮等の一切を包括総称して国体といふ」(『国体学総論』)と定義している。各論者には、この定義に立ち返って議論して頂きたいと思う。

※この文章は、『国体文化』(平成22年4月号)の「編集後記」として執筆したものです。

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