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私の「宿命」

三島由紀夫の「英霊の声」を始めて読んだのは中学3年生の頃だったろうか。当時は文庫本に収められておらず、学校の図書館から全集を借り出してコピーした記憶がある。

それからというもの、世情に苛立つたび読み返し、「今、四海必ずしも波穏やかならねど」から始まるくだりを朗誦したものだった。ペルシャ湾岸では石油利権を巡って戦争が行われているにもかかわらず、日本国内はバブル景気に浮かれていた時期のことである。

当時はポストモダン思想の全盛期で、浅田彰やら柄谷行人が持て囃されていた。しかし、私の興味を全く引かなかった。彼らの著作を本格的に読んだのは大学に入ってからである。また、彼らの文章か、さもなくば進歩的知識人の文章ばかり取り上げられるので、現代文という教科も嫌いだった。

同級生の中にはロックバンドを組む者もあったが、何が楽しいのか分からなかった。反抗的なポーズをとりながらも、どこかで現代日本と馴れ合っているように見えたのである。

まだ酒の味も知らぬ年頃のことだ。自分を取り巻く日常、ひいては現代日本の全てが疎ましかったのである。汽車に乗れば気は晴れるのだが、そうそう出掛けられるものでもなかった。

今でも、基本的な部分は何も変わっていない。この虚偽に満ちた世界を何としても打ち破り、あるべき姿へと作り替えたい。どうやら、これが私の「宿命」らしい。

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